色男
と
そのハニー達の場合
「ろっちー!」
雑音の中に紛れて、そんな可愛らしい声が俺の耳を刺激する。自然とにやける口元を軽く手で隠しながら
振り向くと、想像通りの愛らしい天使が俺に笑いかけていた。
「ごめんねろっちー、待った?」
「いいや、全然待ってないよノン」
ていうか例え何時間待たされようと、君を待ってると考えるだけで心が躍るよ、と囁くと、その瞬間後ろ
から、ばしっと頭をはたかれた。
「もー痛いな、かなっち」
「だってぇろっちーがぁキモいこと言うからぁ」
「うわ、ひでえ」
隣に座っていたかなっちが髪をいじりながら、そう辛辣に俺に告げる。いやいや、心配しなくても、かな
っちのそんな冷たいところも大好きさ!するとその会話を聞いていたノンも、くすくすと笑いながら、俺
の向かい側の席に座った。ノンの到着によって、ようやく全員そろってみんなはますます楽しそうだ。
ああもうみんな可愛すぎる、ここは天国か?
「つーか、すげー遅刻なんですけど、待ちくたびれたっつうの」
「ごめんってば」
「ノン、謝ることはありません。彼女も先ほど到着したばかりです」
「え、そうなの?キヨ姉」
「キヨスケてめー余計なこと言うなっての、まじ白ける」
「あーもう、俺のことでみんな喧嘩しないでー」
『ろっちーうざい』
「…なんでそんなときだけ仲良いの?」
「それよりやっとみんな揃ったんだから早く始めようよー」「そうそう」
「せっかくろっちーのために用意したんだからさー」「手作り?」「もちろんよ」
「あー、ろっちー。この子のは食べないほうがいいかも!」「ちょっとそれどういう意味―?」
ああやっぱりみんな可愛いなー。女の子は笑顔が似合うなー。怒った顔とかもめちゃめちゃ可愛いけど。
「…ろっちーがなんかにやけてる」「そんなところも魅力です」
「つーかやっぱり今年も全員揃っちゃったね」「しかたないじゃん。ろっちーはスケコマシだからさ」
「ほんと、なんでこんなのに惚れたんだろ」「ですよねー」
「ちょ、みんななんか今日は一段と酷くない!?」
俺泣いちゃう、とふざけて俯いてみせると、すかさずノンの手のひらが、俺の頭をふわふわと撫でた。
ノンちゃんはほんと優しいなあ、結婚してぇ。だけど日本は重婚は認めてないんだよなあ…
「ん?」
ふと、おでこに柔らかいものが触れた。それから遅れて、ちゅ、と小さな甘い音が耳元に届く。
「ハッピーバレンタイン、ろっちー」
視線をあげると、先ほど向かい側に座ったはずのノンが、テーブルごしに身を乗り上げて、俺を抱きしめていた。
「今年もろっちーのことが、大好きです」
→ HAPPY VALENTINE!
「あー!ノン!抜け駆け!」「ずるい!」「これは卑怯ですね」
「私もやる!」「こっちが先!」「ちょっと!みんなで順番決めましょ!」「じゃんけんじゃんけん!」
「あれ、ろっちーが嬉し死にしてる」「叩き起こせ!」
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