「いざやさんって、なんで人が好きなんですか」
ガラス玉みたいな大きな瞳がまっすぐ、俺を見つめていた。きらきらと純粋に光るその瞳は俺の神経を逆なでする。
子供は嫌いだ。馬鹿だし、やかましいし、そしてなによりも、そんな鬱陶しい存在であるにも関わらず、
世界のすべてに愛されていることが許せなかった。(人はどうやっても俺を愛してはくれないというのに、)
だから、そうやって軽視していた存在である彼女が、そんなことを俺に直接尋ねてきたときは少しだけ驚いた。
「…どうしてだと思う?」
はぐらかすように、そう切り返すと、彼女もそれを予想していたようで、うーんと軽い調子で相槌を返す。
緑の長い髪を片手でくるくると弄びながら、少し小首をかしげる様子は、その10歳程度にしか見えない少女の外
見にはあまりにも不釣り合いだった。それは人間であったなら間違いなく、大変魅力的な情景だったことだろう。
そしてそれを惜しい、と頭の端で考えてしまう自分がいることに思わず舌打ちした。なんて馬鹿な、
「いざやさんは、本当に人間が好きなんですかね?」
「好きだよ、」
「そうでしょうかね」
まるでまどろんでいるようにゆっくりと流れる時間が少し癇に障る。
それから彼女の子供らしからぬ吐息とか、(人間じゃ、ないくせに)俺の心を見透かしているようで
ぐつぐつと胸の奥が煮えたぎってくる。(それは俺の役目なのに)
「サマーちゃんには関係のないことだよ」
苛立ちを隠さない俺の口調に彼女はふふ、と笑った。
怖いですね、なんて口すさむ彼女の視線は再び俺をまっすぐにとらえてから、
気づいてるくせに、とレンズ越しに俺を笑った。
(「自分が嫌いなだけなんでしょう?」)
11/09/26
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