仮にも軍服を身にまとっている男が情けなく、真っ暗な部屋の隅でがたがたと震えている。
それがいかに馬鹿らしいことかなど、言われるまでもなく自分自身が理解している。それでもどうしようもないのだ。
きらきらと輝く街のネオン、微笑む子供たち。そういう、皆が幸せを感じるべき朗らかなものすべてが、
もはや僕にとっては死毒になってしまう。僕の中にいる怪物がばりばりと音を上げて、心を食い潰していく。
光が怖くて、笑顔が、声が、すべて、僕を射殺しようとする名も知らない敵兵に見えてしまう。
みっともない姿をさらしながら子供のようにただ泣き喚いていたいのに、気がつけば僕は一人、血だまりに立っている。
そういうものを、僕はきっと、見過ぎてしまったのだ。

「(…フレ、イキー)」

頭の奥の方で、赤い光が点滅する。
君は優しくて、とてもとても温かいから、僕はいつも勘違いをしてしまう。
それが僕を苦しめて、こんなにも辛いのに、僕は君を諦めることさえ満足にすることもできないのだ。

「(ああ願わくは、)」

君が、幸せでありますように。







夜に溶かした夢
                   12/02/29